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- 書評「沖縄戦の真実と歪曲」 大城将保・著

沖縄タイムス9月29日

沖縄戦の真実と歪曲 二部構成で、第一部は「教科書検定はなぜ『集団自決』記述を歪めるのか」。緊急出版だ。「『集団自決』/検定」の問題は、いま沖縄で知らぬ人はまれだろうが、本土ではまだ少数である。

 東京で出版されるこの本の冒頭で、著者は今年の慰霊の日の朝、自らが生まれて現在も住む沖縄本島南端・旧玉城村(現・南城市)から広角に広がる太平洋を見渡すシーンから書き起こす。そこからバイクで20分の摩文仁・平和の礎に著者が移動することで、そこが沖縄戦と現在の沖縄住民の精神生活にどういう意味のあるところなのか、読者もおおむねを掴むことができる。摩文仁岬―玉城村の距離と位置関係は、3カ月に及ぶ沖縄戦の最終局面の舞台として重要で、書中繰り返し出てくるのだが、冒頭十数行で読者はその珊瑚礁を砕いて敷き詰めた白い道を往還し始めるのだ。

 沖縄を題材に数々の戯曲やシナリオ、小説、案内書などを書いてきた著者ならではの見事な構成である。

 以後、要所要所に著者自身が姿を見せる。県や自治体の歴史、ことに沖縄戦史の調査や編さんの長い実践で、無数の「真実と歪曲」に遭遇する。特に歪曲のほうは、まるで寄せては返す海潮のように止むことなく襲ってくる。その重要なテーマの一つが「集団自決に軍命はなかった」なのだが、著者はその多くの局面で歪曲者と対決する。その意味での沖縄戦は今日もなお続いているのだ。

 第2部は「沖縄住民が体験した『軍隊と戦争』」。著者自身の「軍隊」との遭遇は戦時中の日本軍、戦後の米軍、そして自衛隊である。それらの経験を縦糸にして、沖縄住民一般の戦争や軍隊とのかかわりの歴史、蓄積された感情や感性を解きほぐすように語りつなぐ。

 そして、なぜ沖縄の人が「検定」問題でこれほど怒っているのか、その構造を明らかにする。29日の県民大会は、船出した福田新内閣に打撃を与えることになるだろう。その深い意味を本土メディアがつかみ取るかどうかは分からないが、新たに沖縄へ関心を向ける一般市民が増えることは確実だ。そういう層に好適なのが本書である。

沖縄戦の真実と歪曲」
大城将保・著
高文研・1800円




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